薬のネット販売議論が薬剤師不要論を呼び起こしているが、肝心の論点を見落としていないか?
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51877418.html
それは薬剤師が不要な職業だからである。昔は薬剤師が薬を調合したので、免許がないと危険だったが、今は医師の処方した薬を出すだけだ。コンビニでもネットでもできる。しかし、ではなく、だからこそ彼らは政治力をもつのだ。Grossman-Helpmanなども指摘しているように、ロビー活動は生産性の低い業界ほど強い。
池田信夫氏が(薬のネット販売に対して強く反対する)日本薬剤師会は政治力を持ち、その政治力を持とうとする勢力は既得権益勢力であり、その元集団たる薬剤師は今や不要な職業であると論じています。
それはある面では正しいと考えています。OTCを対面販売に固執する日本薬剤師会のその姿は「抵抗勢力」にしか見えませんでした。
ただ、池田氏はある面について触れていません。
「薬剤師数が急激に増えている」という事実です。
2003年の段階では薬学部・薬科大学は46だったにもかかわらず、当時規制緩和で薬学部の乱立があり、6年間で28校増設され、74になりました。
薬学部が増えたと言うことは当然、卒業して国家試験を合格する薬剤師の人数も増えるわけです。その供給過多になるという薬剤師の雇用を確保するために薬剤師会はネット販売規制にならざるを得ないわけです。
ただ、薬剤師会を批判するだけでなく、薬剤師の供給過多の原因となった2000年代前半の政府・文科省の規制緩和についてもチクリと入れて頂いた上で論じて頂きたい物です。